2008年10月26日日曜日

驚きももの記 至福のとき

この19日 三島でデモンストレーションをしました。文化講演会は 一部と二部に別れ 一部は大岡信 丸谷才一 岡野弘彦 小島ゆかり の4人の先生方が巻かれた歌仙の発表。それに続いてのデモでした。会場は350人のお客様。私の持ち時間は ピアノの岩谷さんの演奏もいれて 40分。

あまりにも広い舞台では 小品をたくさんいけても 何も心に残らないのでは。
そう思った私は 沼津の花屋さんで 親子2代に渡って東京の 家元が使われる花屋さんで修行をした Kさんに相談しました。この一家には ここでの花材の調達に 何度かお世話になっています。

当日持ってこられた花材は私の予想をはるかに上回っていました。何が手に入るかということは 毎日のように連絡を取っていたので知っていましたが 改めてびっくり!!!!一人ではとても重くてもてない たくさんの藤ヅルの直径は どのくらいでしょうか。円を描いたようなものもありました。大好きな 赤いまゆみは 背の高さは2メートルのもあり 両側に手を広げたようでした。すずなりの柿は渋柿だといわれました。楓の紅葉は(あと5日あればもっと赤くなるのだけど) と 息子さんとそのかわいいお嫁さんがゆさゆさと運ぶのを見てKさんは言いました。舞台の照明で当てられるとすぐしおれてしまうので 前日切りにいってくださったらしい。

市場から持ってこられたのは 鶏頭くらいでしょうか。Kさんが何気なく (あの家のをもらったんだけど  玄関のところにいいのがあったけれど さすが切れなくてーー)というので わかりました。そう。知り合いの畑や 家 山林から 切らせてもらったものだったのです。伊豆のほうにも 芭蕉の葉をもらいに車を走らせて何度も行ってくれたらしいのです。

幕が開き すでに歌仙の バックとして仕上げていた柿の大枝と 藤づるの大作に続き 二作目をいけていきました。 次の作品は前のどういうところと 関連させたか あるいはまったく関係なく続けるか ということはつまり 一部のプログラム  歌仙を少し意識したものだと 私は舞台から説明しました。いける間 話の間に時々きらりと入るのは 邪魔にならず 絶妙なタイミングのジャズピアノ 。やがて大きな鉄水盤と鉄花器 を 合計三個使い 舞台に3作を一作にした大作が出現しました。
秋の 日本の自然の色と 豊かさが 黒幕の前に再現されたと思います。

完成すると 誰にもなじみがあるだろうと選曲した (星に願いを)を ジャズヴァージョンで思う存分演奏。そして最後の2分半は 岩谷さんオリジナルの(月のしずく)を 暗くした中 照明で変化をつけて作品を見せました。



大きなピアノ ヤマハのフルコンで 弾いた岩谷さんは (演奏中 みんなの耳がいっせいにこちらに向いているのを肌で感じられて 乗ってしまったよ) といい みんな いい方たちばかりで この公演中 始めから おわりまで いやなことを一瞬でも感じさせなかった。こんな気持ちよく集中して演奏できる環境は そうあるものではないよ といってくれました。

東京から 駆けつけて手伝ってくれた 休み返上の私のクラスのメンバーたち、そのうち一人は Kさん一家の真摯な心根を感じさせる 奮闘ぶりを(一家で何とかこのデモを成功させたいという思いが伝わってきて感激した サラリーマンの世界ではなかなかこんな人たちには出会えない)とメールをくれました。

  何かお手伝いしましょうかと電話」をくださった 三島在住で今では堂々たる先生で むかし本部で私が教えていた男子専科のメンバーのSさん。 そして 主催の Zkai の 皆様には私の ああしたいこうしたい というわがままをいやな顔ひとつせず聞いていただきました。

そして観客の皆様にも恵まれていたのだと思います。

至福のとき なかなかないこのひと時 いけばなをやっていたからこそだと思います。 





 

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