2008年5月13日火曜日

驚きももの記 制作ノート

ホームページのなかで GALLERY を ご覧いただいたと思います。
一番最後に 桜の写真がありますね。 1994年 作品集 花だまり と書いてあります。私のただひとつの作品集です。
本では見開きのページのこの写真 1993年の桜の作品です。 撮影したこの場所は いまからずいぶん前に取り壊されました。缶を作る会社に いとこが関係していて その工場にある倉庫の壁の前でこの作品を撮影しました。面白い場所で作品をとりたいので どこかないかと相談を持ちかけたのですが 映画のロケにも使われたこの工場を 一度見てみないかといわれ 行ってみて一目で気に入りました。

当日は空模様があやしく 何作かを撮影したのですが この桜をとるときには雨に突風まで吹きだし  手伝ってくれた生徒さんたちは 余りの雨の勢いに 黒いビニール袋を頭と手を出すために切り取り 着ていました。
工場に転がっていた 鉄のパイプが うまい具合に劣化していい味をだしていたので 花器にして桜をいけ さあ カメラマンがシャッターをきる!という瞬間 作品全体が 舞い上がったと思ったら倒れてしまいました。みんなの悲鳴に近い!あー!という声と同時でした。
この作品ーーーでも いけたのだ、私は確かにーーーーと思うまもなく私はそれを起こし 桜をもう一度立て直しました。(じゃ これで お願いします。)

あとで 作品集を見てくださった 当時の家元 勅使河原宏氏が (これ いいじゃないか!)といってくださったと聞きました。
(仕方がない もう これはいいーー次の作品をいけよう といってあきらめないでよかった)と思いました。
こうして 桜の写真は日の目をみました。それどころか あの桜の写真 いいですねといってくださるかたもいます。
ほめてくださった 勅使河原宏家元も 場所の提案をしてくれたいとこも もう鬼籍に入っています。
あの日いけられた桜は 15年たった今も 本の中で 命の輝きを放っていると思うのは 作者である私の 思い出の深さゆえでしょうか。


http://www.kokanote.com/ 






 

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